くもへび「連載ブログ」


■ 第二話〜海底人〜その6 2007.07.06 Friday 13:14
「フレディ…あの…」
凜はフレディの視線を逃れるように下を向いた。
「もし私が…フレディと結婚することにならないとしたら…、フレディは翼を無くしてしまうの?」
フレディはすぐ返事をする事が出来なかった。
「あのね…結婚したくないとか、フレディが嫌いとか…そういうのじゃ無くて……いまいち良く分からなくて…」
何だか凜は、申し訳ない気持ちで、目の奥が熱くなった。
すると、ぽん、と凜の頭にフレディの手が乗った。
「なんだ凜、そんな事か。俺だって凜に無理強いしないし、凜がそうしたくないならしなければいい。翼を無くしても、凜と同じ人間になるだけだろ?今と変わらないじゃないか。それに凜の気持ちの整理がつかないなら、それが分かるまで俺はいつまでも待てる」
凜は、胸がカーッと熱くなった。
嬉しい気持ちと、よく分からない気持ちで一杯になった。

「ちょっとちょっとー!そこのお二人さん!何イチャイチャしてんのよっ」
少しの間静まりかえってしまった空気は、リミエルのフレディへのタックルで一気に和やかなムードを取り返した。
「痛ぇなリミエル〜」
不意を突かれて思い切り尻もちをついたフレディが笑いながらリミエルをにらんだ

「気にしすぎよ、凜ちゃん。こいつ、私が言うのも何だけど、結構良い奴だからっ!」
「さぁ、式場の下見に行くわよ〜!」
リミエルは凜とフレディの腕を自分の両手に組んで、スタスタと歩き始めた。
凜のフレディへの気持ちは、決して悪いものではなかった。
いやむしろ、既に何かが芽生えてさえいるのかも知れない。


リミエルに連れられ、街の中を進む。
色んな海底人や、魚たち…見たことも、経験したことも無いようなことが、どんどん目の前で展開されていく。
こんな海の底に立派に生活している人達が居るとは、考えたことはあっても、それがこんなにもリアルなものだとは思いもよらなかった。

真っ白い珊瑚で出来た大きな建物は、その全てが部屋なのでは無く、通路や、広場、お店など、あらゆるものが詰まって出来ている。
商店街をいけば、その白い壁の作りが、海外の町並みを連想させた。
しかし人間界との大きな違いは、「道」はあっても、そこを通る人達は全て、空中を浮遊しているということだ。
つまり、忘れてはいけないここは水の中であって、魚の下半身を持つ海底人達はみな、上下左右自由に泳ぎ回っているのだ。
露店で売られている物に目を引かれながら通りを過ぎると、目の前が開けた向こうに、白い城が見えた。
「あれは海底城よ。あそこの式場を案内するわ」
そう言ってリミエルは、泳ぐスピードを速めた。
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